【劇場版 鬼滅の刃 夢幻列車編】心を、燃やせ──。日本歴代興行収入の塗り替えた歴史に残るアニメ映画の金字塔!【映画レビュー】
2020年10月16日に『劇場版 鬼滅の刃 夢幻列車編』が公開されました。
テレビアニメ『鬼滅の刃』竈門炭治郎 立志編の続編として原作7巻・8巻にて描かれた無限列車の戦いが描かれている。
原作:吾峠呼世晴
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン:松島晃
音楽:梶浦由記、椎名豪
ストーリー
果てなく続く 無限の夢の中へ──。
蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、無限列車に到着する。
そこでは、短期間のうちに四十人以上もの人が行方不明になっているという。
禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である柱のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く無限列車の中で、鬼と立ち向かうのだった。
前人未到の大ヒット記録樹立
原作の『鬼滅の刃』は週刊少年ジャンプにて2016年2月に連載開始され、2020年5月で完結した全23巻の大ヒット少年漫画である。
2019年に7巻前半までのストーリーがTVアニメ化され、その続きである7巻後半から8巻までの約コミック2冊分の内容が『夢幻列車編』として2020年に待望の映画化となった。
観客動員数・興行収入と共に初動から爆発的大ヒットとなり、公開から73日目となる12月27日には観客動員数2404万人、興行収入324億円を突破し、『千と千尋の神隠し』を超えて日本歴代興行収入1位となる前人未到の記録を樹立した。
感想
筆者はTVアニメ版から『鬼滅の刃』に入り、その後コミックスを購読したタイプの読者である。
両方鑑賞した上で抱いた感想は、『鬼滅の刃』は原作、キャラクター原案もさる事ながらアニプレックスによる作画や豪華声優陣による演技でTVアニメ版はさらに魅力的な作品に仕上がっているというものだった。
原作とアニメ制作会社の渾身の共同制作、さらにコロナ禍でサブカルチャーコンテンツに人々が注目する時代ということも追い風となり、『鬼滅の刃』は大ブームとなった。
そして劇場版は充分に綺麗だったTV版を遥かに上回る作画や動き回るアクションの凄さに度肝を抜かれた。
のちの外崎監督の談によると、列車は座席、窓枠から手すりに至るまですべて3D映像にて制作され、そこに乗っている炭治郎や禰󠄀豆子、杏寿郎、乗客は全て作画。
この“作画と3D映像の融合”が『夢幻列車編』での素晴らしいクオリティーを実現したとのことである。
列車が大きく揺れた際、手すりを掴む乗客もいたりするので、作画の手と3D映像の手すりを合わせるのに苦労したなどと聞くと、気の遠い作業の中制作されているのだなと感心してしまう。
ストーリーは原作を忠実になぞられており、まさに少年漫画と言える”王道中の王道”的な気持ちの良い物語となっている。
煉󠄁獄杏寿郎の生き様、最期は涙なしでは鑑賞できず、たくさんのファンに大きな感動を呼んだ。
最近の劇場版アニメによく見られる話題作りなどの目的による芸能人との声優タイアップもなく、全て本職の声優陣で固められたキャストにより、より作品に集中して感情移入できるのもプラスの評価。
最後にこれはあくまで個人的な感想となるが、前述した通り、観客動員数・興行収入と名実共に日本一の映画となった本作。
しかし米アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞した『千と千尋の神隠し』や2016年興行収入1位の『君の名は。』と比較すると作品の奥深さでは一歩劣ると感じた。
逆にいうと明朗快活だからこそ老若男女に認められ、称賛される王道的作品ということなのだろう。
兎にも角にも、日本映画史の記録を塗り替えた本作は紛れもない名作であり、是非一度は観て欲しいタイトルだ。
2021年には『夢幻列車編』の続きとなる『遊郭編』がTVアニメにて放送開始となる。
成長した炭治郎たち、新たに登場するキャラクターなど、今から期待で胸が躍る。
これからも『鬼滅の刃』から目が離せない日々がしばらく続きそうだ。