【PSYCHO-PASS SS Case.1 罪と罰】正義は、歪んだ世界を照らす──。【映画レビュー】
2019年1月25日よりアニメ「PSYCHO-PASS」の新劇場版三部作第一弾「PSYCHO-PASS SS Case.1 罪と罰」が全国公開されました。
2月15日より第二弾、3月8日より第三弾が3ヶ月連続で公開予定です。
第一弾は監視官「霜月美佳」と、執行官となった「宜野座伸元」を主軸とした物語となっています。
PSYCHO-PASSとは
近未来の日本、人間の心理状態、性格的傾向を数値化し、管理するシビュラシステムが運用を開始。
人々はこの数値を「PSYCHO-PASS(サイコパス)」と通称し、理想的な人生を送るための指標とした…
『PSYCHO-PASS』は、「未来社会において正義のあり方に葛藤する刑事たちのドラマ」をコンセプトとした新感覚SF作品として誕生。濃厚な物語と映像世界で幅広い視聴者を魅了し、2012年にTV放送一期、2014年にTV放送二期、2015年には劇場版公開され、いずれも大ヒットを記録した。
PSYCHO-PASS SS
2019年、劇場での3作品連続公開となる「Next Project」が始動。
<Sinners of System>="システムによって、罪人とされた人たち・その物語"をタイトルの意味に込めつつ、それぞれに焦点を当てる人物を変えることで、シリーズの新たな可能性を提示する。
制作にはシリーズの主要クリエイターが再集結。全3作のストーリー原案・監督は塩沢直義、アニメーション制作はProduction I.Gが担当するほか、「Case.1 罪と罰」ではノベライズ版の執筆経験を持つ吉上亮が脚本を手がけるなど、シリーズの魅力を知り尽くした布陣となっている。
ストーリー
『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』 予告編
2117年−冬。
一台の暴走車両が、公安局ビルに突入する事件が起きる。運転手の夜坂泉は、青森にある特別行政区<サンクチュアリ>の心理カウンセラーだった。
彼女は公安に助けを求めている様子だが、精神状態が著しく不安定で、意思の疎通もままならない。
何ひとつ明らかにならないまま、公安局局長・禾生は夜坂の即時送還を命じる。上層部の動きに不穏なものを感じた常守朱は、東京に残り暴走車両の所有者を追跡。
一方の霜月美佳は、宜野座伸元と六合塚弥生をともない、夜坂送還のため青森へ飛ぶ。
<サンクチュアリ>の統括管理者である辻飼たちに妨害され長も捜査を進めていく中、夜坂が監視の目を盗み逃亡。
夜坂追跡をめぐり、霜月たちと<サンクチュアリ>管理者たちは対立を深めていく。
登場人物
霜月美佳 CV:佐倉綾音
シビュラシステムの職業適正考査により当時史上最年少で監視官に着任した。
かつての親友を殺された経験から、潜在犯は速やかに排除すべきと考えているため、執行官はもとより、彼らとのチームワークを重視する朱にも強硬な態度を取ることが多い。シビュラシステムの真実を知りつつ、心から心棒している。<サンクチュアリ>の捜査では、持ち前の直観力と頭の回転の速さで、事件の真相に迫っていく。
宜野座伸元 CV:野島健児
鋭い観察眼を持つ一係のエリート監視官。犯罪係数の悪化にともない執行官へ降格したが、立場が変わっても刑事を続けることを決意する。
監視官時代は潜在犯を憎悪するあまり感情的になることも多かったが、父親である征陸の殉職、狡噛の失踪を経て、今では一係のまとめ役として、朱をよくサポートしている。かつての自分に似た霜月を心配しており、暴走がちな彼女の支えとなるべく、ともに<サンクチュアリ>に乗り込む。
常守朱 CV:花澤香菜
一係の指揮を執る監視官。確固たる正義感と、色相の濁りにくい頑強な精神を持ち、過酷な状況でも自分を見失わずに捜査に邁進するタフさ秘める。夜坂の護送については、霜月を信頼して一任。東京での彼女らの操作をサポートする。
夜坂泉 CV:弓場沙織
<サンクチュアリ>に勤務している厚生省許可の心理カウンセラー。親友・久々利桃花の息子である武弥に我が子同然の愛情を注ぎ、彼を守るために<サンクチュアリ>を逃亡し公安局へ助けを求める。武弥の身代わりに薬物を過剰摂取したことにより、一時的に脳機能に障害を抱えながらも、辻飼らの罪を告発した。
久々利武弥 CV:平井祥恵
<サンクチュアリ>施設内で桃花が出産した男児。現在は6歳。潜在犯による育児は認められないため、施設カウンセラーの夜坂によって育てられる。人見知りでおとなしい性格。
辻飼羌香 CV:岡寛恵
経済産業技術環境局に在曲する官僚であり、<サンクチュアリ>の統括管理者を務めている。施設に収納されてる潜在犯を「仲間」と呼び、彼らの人格を尊重するそぶりを見せるが、裏では薬物投与と催眠療法を用いて洗脳。意のままに動く傀儡に仕立て上げている。
松来ロジオン CV:小山力也
元執行官で、現在は<サンクチュアリ>にて潜在犯の素行を管理する保全間として勤務。小説『罪と罰』の主人公と同名であり、辻飼からは「ロージャ」と呼ばれている。潜在犯でありながら正義を振りかざす執行官を嫌悪しており、特に宜野座に対して挑発的な態度を取る。ロシア人と日本人のハーフで、瞳は黄色と青のオッドアイ。
玄沢愛子 CV:斉藤貴美子
<サンクチュアリ>に勤務する心理カウンセラー。潜在犯の健康管理に当たっているが、その実、投与と催眠を組み合わせた違法セラピーによって住民たちを「集団思考」状態に陥らせている。拘束された六合塚を拷問にかけようとするなど、加虐的な一面を持つ。
能登耕二 CV:多田野曜平
<サンクチュアリ>の管理職員。収容されている潜在犯たちの住居全てに自由に出入りすることができ、徹底した管理状態を作り上げている。
烏間明 CV:中川慶一
エネルギー問題に深い造詣を持つ衆議院優生党の国会議員。資源エネルギー庁長官、環境部会長などを歴任した若手実力派。ある重大な問題を秘密裏に解決するため<サンクチュアリ>創設を主導。秘密の漏えいを防ぐため、禾生に夜坂の即時送還を要請する。
六合塚弥生 CV:伊藤静
一係最古参のベテラン執行官。夜坂の逃亡を幇助したとして辻飼らに拘束されるが、ネットワークに潜入し操作をバックアップする。
唐之杜志恩 CV:沢城みゆき
総合分析室の分析官。現場の無理な要求にも素早く対応し、「情報分析の女神様」の異名を取る。執行官の六合塚とは公私ともに良きパートナー関係。
須郷徹平 CV:東池宏樹
国防軍を退役後、軍事ドローン研究施設の職員を経て執行官になる。二係の所属だったが、鹿矛囲事件を機に一係に異動。実直で礼儀正しい人物。
雛河翔 CV:櫻井孝宏
元ホロデザイナー兼ドラッグディーラー。うつ病から薬物依存に陥り、現在も「サプリメントかけごはん」を常食。繊細な性格で人付き合いは苦手だが、朱には心を開いている。
感想
ストーリー原案・監督:塩谷直義
脚本:吉上亮
総作画監督:中村悟
「Case.1 罪と罰」で描かれるのは、<完璧>とされるシステムに見え隠れする傲慢。潜在犯の楽園と呼ばれる<サンクチュアリ>を調査する中、霜月美佳と宜野座伸元らが報いを受けるべき者を炙り出してゆく…
脚本がTV一期、劇場版の虚淵玄ではなくなったことで一抹の不安を覚えてはいたが、それは杞憂で終わりました。
Case.1に関しては吉上亮の脚本は「PSYCHO-PASS」の世界観を損なうことなく、非常に面白いストーリーに仕上がっています。
これはCase.2&3の深見真の脚本にも期待できます。
1時間という短い尺の中での作品のため足早に物語は展開しますが、これは2時間モノとして各登場人物の私生活の描写などを混ぜ、よりキャラクター像の深掘りをして欲しかったところです。
このクオリティであるなら2時間枠×3部作としても充分ファンは納得のいくものに仕上がったと思います。
Case.1に関しては既にTV版、劇場版を経て成長した常守朱をあえて主人公にせず、まだ血気盛んで未熟なところもある霜月美佳を主人公に置いたのが成功しています。
旧作ではその未熟さから少し頼りない部分が色濃く出ていた霜月ですが、今作では過去の経験で成長した姿を見せており、とても好感が持てます。
しかしまだ若さゆえの暴走しがちな部分も残っており、その不安定なところがまた彼女の魅力を引き出してます。
彼女の足りない部分を補佐する宜野座伸元もまた、父「征陸」のようになりたいがなりきれてない描写が垣間見える。
この二人の協力操作が今作の最大の見所ではないかと筆者は思います。
今回の新劇場版PSYCHO-PASS。
期待以上の完成度でした。
Case.2そしてCase.3と次回作も必ず劇場にて鑑賞します。
今回は 『PSYCHO-PASS SS Case.1 罪と罰』の紹介でした。