【登山】12時間超えのコースをちょっと無茶して1日で歩く。夏の終わりの百名山テント泊登山レポート【塩見岳】

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9月下旬、夏の終わりのテント白登山。

単独行。

 

塩見岳は長野県と静岡県にまたがる標高3,052mの山である。

仙丈ヶ岳から続く長大な塩見尾根の南端に位置しており日本百名山の一つに選定されている。

山名の由来は、山頂から駿河湾(潮)が見えるからという説や、山麓に塩の産地があるからという説がある。

 

アプローチ

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神奈川の自宅を20:00出発。

中央道松川ICで降りて鳥倉林道を走る。

4時間ちょいで鳥倉林道ゲート前の駐車場(標高1,600mちょい)に着く。

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30台くらい駐車可能でトイレ完備な空き地。

ぼくが着いた0時過ぎでは20台くらい埋まっていた。

結構人気な山だけにシーズン中だと朝方着くと満車の可能性が高いのではないだろうか?

後部座席のベッドで毛布にくるまって就寝。

 

鳥倉林道ルート

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AM5:00起床。

初日の行程コースタイム12:30だから3:30に起きて4:00出発の予定だったのに完全に寝坊した(笑)

駐車場のゲートを超えて鳥倉登山口までは林道歩きである。

40分ほど面白みのない林道を歩く。

余談だが自転車を車に積んできて、駐車場から登山口までは自転車で行って登山口に停めておいて下山後また自転車で駐車場まで帰る人がいる。

ぽてぽて歩きながら颯爽と自転車で走ってく登山者を見かけて羨ましく思った(笑)

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鳥倉登山口着。

トイレもある。

ここからが本格的な登山開始だ。

テント装備を担いでコースタイム3:00の急坂を登る。

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急坂と言われるが体感的には北岳や千枚岳の急坂よりははるかに楽ちんだ。

気持ちの良い青空だ。

これは楽しい山行になりそうだ。

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三伏峠小屋までは細い丸太の木段が多い。

転ばないように気を付けよう。

三伏峠小屋までの道には10分割にした標識が10本立てられており、あとどれくらいで到着するか教えてくれる。

この標識は精神的な支えになるからとても嬉しいよね。

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三伏峠小屋まであと200mの立札。

汗が噴き出てくる。

でも9月下旬だと山の気温は低く、歩みを止めた途端寒くなる。

 

三伏峠小屋~塩見小屋

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今夜の宿泊地に到着。

ここの水場は山小屋から往復30分も離れた場所にある。

そこまで行く気力は当然なく、山小屋で販売している2ℓ600円の水を購入。

ていうか、30分歩いて汲みに行く人いるのか?(笑)

設営料金を払って小屋の裏手にあるテン場へ。

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ナイスロケーションなテン場だね!

50張りほど幕営可能な広さ。


この時間ではまだ4~5幕しか張られてないので一等地に設営できた。

テント張ったら小休止をとる。

MAP見ながら行動食をかじる。

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食糧や寝袋などをテントにデポして、半分以下の軽さになったザックを背負って再出発。

目指す塩見岳までは4:40の道のりで途中三伏山と本谷山という二つの山を越えて行くコースだ。

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素晴らしい天気の景色を眺めながら歩く。

本日初の森林限界が始まりハイマツの中を鼻歌交じりで行く。

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三伏山2,615m登頂。

南アルプスの山々が見渡せて絶景。

時間がシビアなので休憩は取らない。

再度樹林帯の中を降っていき、そして登り返す。

荷物軽量化したから身体が軽い。

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続いて本谷山2,658m登頂。

三伏山と違ってここはハイマツに囲まれた展望無しの山頂。

ここでも歩みは止めずに塩見岳を目指す。

 

塩見小屋〜塩見岳山頂

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そこから先は展望の開けた気持ちの良い道が続き、鼻歌混じりで歩いているうちに塩見小屋に到着。

ここでやっと休憩をとる。

水の補給をして少し座り行動食食べながら景色を眺める。

ここからの展望は素晴らしい。

仙丈ヶ岳、甲斐駒、北岳、間ノ岳、農鳥岳などなどが一望に見渡せる。

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現時刻は12:15。

ここからが本番、塩見岳にアタックだ。

1:20のコースタイムで山頂。

そこから三伏峠小屋テン場まで戻るのにコースタイムが4:20。

体力はまだいけるが時間が少し不安だ。

休憩はそこそこに再び歩き出すことにしよう。

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1:20のコースタイムだが結構遠いように感じる。

ハイマツの中稜線歩きで麓に取りつく。

鳥倉駐車場を出てから8時間ほど経過している。

行動時間が長すぎる、流石に足が少し疲れてきた、登りがキツい。

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頂上アタックは結構な岩登りが待っている。

ストックを仕舞い両手両足で三点支持でしっかり登ってゆく。

マジで疲労感が出てきた、ヤバい元気出せ自分。

飴舐めて当分を体内に流し込み踏ん張る。

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落石が起こり易そうな道が続く。

疲労困憊でも集中力だけは研ぎ澄ましていなければ危ない。

黄色いペンキでマークされた道しるべを見落とすと崖っぷちとかにぶち当たり来た道を戻るハメになって体力を無駄に消耗する。

旧道のマークがまだ残ってるのでややこしい。

 

塩見岳、踏破

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岩登りが終わり、なだらかな山道に出ると…。

やったぜ!塩見岳登頂。

塩見岳には西峰、東峰と山嶺が二つある。

こちらは西峰3,047mだ。

東峰のほうが3,052mと高いが三角点は西峰に設置されているので正確には3,047mが塩見岳の標高とされている。

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素晴らしい景色を眺めたら5分先の東峰に向かう。

東峰3,052m。

ぐるっと景色を眺めたら即下山開始とする。

本当はカップラーメンとケトル&バーナー持ってきてたので山頂で食べたかったのだが如何せん時間が無い。

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時刻は13:30。

下手すれば陽が落ちた中をヘッドランプを点けて歩く羽目になる。

それは嫌なので行動食を口に放り込み、心惜しいが山頂を後にする。

 

下山開始~テント場まで

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下山開始と同時に少しずつ霧が出てきた。

塩見小屋まではストックは仕舞ったままで両手を使って降っていく。

危険な道が終わりストックを出す。

脚が限界まで疲労してる時のストックは本当にありがたい(笑)

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塩見小屋を通り過ぎる。

本来はここで山小屋泊まりにして、残りの下山行程は2日目にするのが普通の山行なんだよね

でもこの塩見小屋は幕営禁止だったので、テント泊派のぼくは三伏峠小屋を宿泊地にした。

お陰でアホみたいな行程を歩かねばならなくなったのだが(笑)

小屋の前で塩見岳を眺めながらビールを美味そうに呑んでる宿泊客を横目に樹林帯の中に入っていく(笑)

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休み無しでなるべくハイペースで歩き続ける。

脚が痛いが休んでる時間はない。

16:30三伏山山頂まで戻ってきた。

テントを設営した三伏峠小屋が見える。

ここまでくれば安心だ。

なんとか日没前に戻ることができて良かった。

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17:00三伏峠小屋テント場到着。

本日の行程終了!お疲れ様でした!

すぐさま山小屋でビールを購入して夕飯だ。

本日はまともな飯を一切口にせず、カロリーメイトなどの行動食だけで凌いできたのでもう倒れそう(笑)

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今日の夕飯はお馴染みのマルタイ山の棒ラーメン。

味玉、豚角煮、野菜をトッピング。

肉も野菜もたっぷりの栄養満点なご馳走だ。

腹ごしらえが済んだらビールとチーズでまったり晩酌。

これが単独行の醍醐味だよね。

やはり15時頃には行程終了して、しっかり休むのが正解だな。

無茶な行程はなるべく控えよう、事故にも繋がることもあるしね。

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18時を過ぎると陽が沈み、辺りは急激に冷え込んでくる。

今年初めて秋の訪れを肌で感じながら「寒い寒い」とテントの中に逃げ込む。

寝袋に潜り込みビールを呑みながら山岳資料を読み耽る。

実際に自分が今いる山での歴史や伝承を読むのは本当に面白い。

酒を呑んだら一気に疲れが回って21時には就寝。

夜半過ぎに雨が降り出しテントに当たる雨音で目が覚めるもまたすぐに眠りに落ちる。

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AM5時起床。

テントの外は土砂降りだ。

テントの中で朝飯のカップラーメンを食べる。

食べ終わったら雨の中、素早く撤収作業を済ませレインウェアを着て下山開始。

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途中濡れた木段で足を滑らせて思いっきり転倒。

ザックの重みで回転が止まらずゴロンゴロンと転がり落ちる。

ヤバい!仰向けに倒れたまますぐには起き上がらず落ち着いて状態確認。

左手首を捻ったようだ、軽い捻挫か。

右肩も強く打撲して痛いが骨は大丈夫そう。

脚は無傷。

手を怪我しても下山は出来るが、脚をやったら歩けない。

すなわちそれは遭難をするということだ。

不幸中の幸いに安堵のため息をついて起き上がる。

そこからはアクシデント無く無事下山することができた。

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霧の中駐車場までの林道をダラダラと歩く。

ここまで来るとやっと緊張が解ける。

9:15やっと駐車場到着。

積んであった服に着替えて車のエンジンをかける。

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松川ICから5分の場所の日帰り温泉「清流苑」で湯につかる。

2日分の汚れを落とし、湯船で雨に濡れた体を温める。

さっぱりしてから昼飯に味噌カツ丼を食す。

渋滞にも合わず16時頃に自宅到着。

この登山では転倒による怪我をしてしまったが、無事に下山できたことを山神様に感謝しよう。

 

今回は『塩見岳テント泊ピストン』レポの紹介でした!

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