【PSYCHO-PASS SS Case.3 恩讐の彼方に___】正義は、歪んだ世界を照らす。【映画レビュー】

 

2019年3月8日よりアニメ「PSYCHO-PASS」の新劇場版三部作第3弾「PSYCHO-PASS SS Case.3 First 恩讐の彼方に___」が全国公開されました。

物語の舞台は、『劇場版 PSYCHO-PASSの サイコパス』のその後。理不尽な暴力で家族を失った少女・テンジンとの交流を通じ、目指すべき場所を見失っていた狡噛慎也の心にある変化が訪れる…。

 

PSYCHO-PASSとは

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近未来の日本、人間の心理状態、性格的傾向を数値化し、管理するシビュラシステムが運用を開始。

人々はこの数値を「PSYCHO-PASS(サイコパス)」と通称し、理想的な人生を送るための指標とした…

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『PSYCHO-PASS』は、「未来社会において正義のあり方に葛藤する刑事たちのドラマ」をコンセプトとした新感覚SF作品として誕生。濃厚な物語と映像世界で幅広い視聴者を魅了し、2012年にTV放送一期、2014年にTV放送二期、2015年には劇場版公開され、いずれも大ヒットを記録した。

 

PSYCHO-PASS SS

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2019年、劇場での3作品連続公開となる「Next Project」が始動。

<Sinners of System>="システムによって、罪人とされた人たち・その物語"をタイトルの意味に込めつつ、それぞれに焦点を当てる人物を変えることで、シリーズの新たな可能性を提示する。

制作にはシリーズの主要クリエイターが再集結。全3作のストーリー原案・監督は塩沢直義、アニメーション制作はProduction I.Gが担当するほか、脚本は「Case.2 First Guardian」に続き深見真が担当。

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物語の舞台は、『劇場版 PSYCHO-PASSの サイコパス』のその後。

理不尽な暴力で家族を失った少女・テンジンとの交流を通じ、目指すべき場所を見失っていた狡噛慎也の心にある変化が訪れる…。

 

ストーリー


『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__』予告編

 

国外で逃亡生活を続ける狡噛慎也は、2116年に起きたSEAUn(東南アジア連合・シーアン)でのサイコパス偽証事件後も傭兵として紛争地帯を転々としていた。

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旅の途中に知り合った同業者・ガルシアの協力を得てチベット・ヒマラヤ同盟国に入った狡噛は、武装ゲリラの手から難民を乗せたバスを救う。

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その姿を目の当たりにした少女・テンジンは、殺された家族の仇を討つため、彼に戦い方を学びたいと懇願する。

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同盟王国では政府軍の戦力低下にともない武装ゲリラの流入や民族間の争いが激化、大勢の一般市民が犠牲となっていた。

復讐の手段ではなく身を守る術を教えるため、彼女の願いを聞き入れる狡噛。

そんな中、狡噛の前に日本の外務省職員・花城フレデリカが現れる…。

 

登場人物 

狡噛慎也:CV関智一

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元・厚生省公安局刑事課一係の執行官。

因縁の相手だった槙島を追うなか、執行官としての事件捜査に限界を感じ公安局を逃走。

槙島との決着後、日本を脱出し現在は放浪の身となっている。

 

テンジン・ワンチュク:CV諸星すみれ

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狡噛に命を助けられた難民の少女。

チベット・ヒマラヤ同盟国辺境の村出身。

幼少期に家族を武装ゲリラに殺されたことから、かたき討ちを望み狡噛に戦い方を教えて欲しいと懇願する。

明るく元気で人懐っこい性格だが、心には復讐の意思を秘めている。

 

花城フレデリカ:CV本田貴子

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外務省行動課特別補佐官。

シビュラシステムの導入により、帰国できなくなった日本人、“日本棄民”の調査でチベット・ヒマラヤ同盟国を訪れる。

逃亡執行官である狡噛と出会う。

 

キンレイ・ドルジ:CV志村知幸

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チベット・ヒマラヤ同盟国の兵士。

もとは事務職にいたが、軍が混乱に陥ったことで前線に出ることになった。

テンジンの叔父。母国を愛する人格者。

 

ギレルモ・ガルシア:CV磯部勉

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傭兵団「停戦監視団」の団長。

チベット・ヒマラヤ同盟国政府が紛争を解決するために雇ったプロの紛争交渉屋。

頭脳明晰で博学であり、各地での活躍から英雄と呼ぶものも多い。

 

ツェリン・グルン:CV高木渉

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傭兵団「停戦監視団」の兵士。

狡噛と出会い、陽気な性格ですぐに打ちとける。

狡噛とともに武装ゲリラと戦う。

 

ジャン=マルセル・ベルモンド:CV鶴岡聡

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政府軍の戦力が低下したことに付け込み、過激な活動をしている武装ゲリラ。

襲撃を楽しみ、非武装の人間も手にかける残虐な性格。

 

感想

『Case.3 恩讐の彼方に___』は劇場版サイコパスでのSEAUn(東南アジア連合・シーアン)の事件後の狡噛慎也を描く物語となっています。

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紛争地帯で、物として雇われ、それに応じながら生きる毎日の中で、自らの存在意義を見失っていた狡噛が、武装ゲリラの襲撃によって家族を奪われた少女テンジンと出会い、その天真爛漫な性格と触れ合うことにより人間味を取り戻していくシーンは見ていてとても温かく感じました。

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しかしテンジンは明るく優しい少女でありながらも、家族を殺されたゲリラへの憎しみが心の奥底で憎悪の炎を燃やしているという描写には、戦争の不条理さを感じ切なく哀しい気持ちになりました。

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日本人である父親の形見の一冊の本「恩讐の彼方に」を狡噛に日本語の読み方を教えてもらいながら読み進めていくテンジン。

そのうちに彼女の中の「復讐」に対する考え方が少しずつ変化していく過程がこの映画の見所だと筆者は思います。

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後半のクライマックスは、“これぞサイコパス”というべき戦闘シーンの連続で、Case.3で満を侍して登場した狡噛のアクションをこれでもかと言うほど見ることができファンも大満足な内容になっています。

今作はCase.2にも登場した外務省の花城フレデリカもただの外交官ではなく一癖も二癖もあるところを見せ、3期では主要人物になることを予期させられました。

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3期と言えば、本作の公開日である2019年3月8日に、“PSYCHO-PASS TV放送3期制作決定”が発表されました。

劇中では日本に残してきた公安局刑事課一係の元仲間たちの安否を気遣う狡噛の描写があったり、エンディングは狡噛は日本に帰ることになる流れで終劇となり、3期に繋がる終わり方をします。

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このタイミングで3期制作開始の情報解禁になった理由が解りました。

筆者はこのメディア戦略にまんまとヤラれ、PSYCHO-PASS 3期への期待が最高潮に高まり楽しみで仕方なくなってしまいました(笑)。

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今作で『劇場版PSYCHO-PASS SS』の三部作は完結となります。

3作とも「行政」「司法」「戦争」と様々な社会問題の歪みや、その中で生きる登場人物の心理描写が繊細に描かれ心を打つ素晴らしい物語でした。

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新登場のキャラクターの存在なども含め、この3部作あってこそのTV版3期だと思います。

時間がある方は劇場で、残念ながら都合が合わなかった方もDVDなどで、是非『PSYCHO-PASS SS』を鑑賞してからTV版3期放映に挑みましょう!

今回は『PSYCHO-PASS SS Case.3 恩讐の彼方に___』の紹介でした。

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