【ちはやふる -結び-】絶対に忘れない─。今 、この瞬間が私たちの全て。最後の戦い、ここに完結。【映画レビュー】
2015年に実写化1作目「ちはやふる 上の句」
2016年に続編となる「ちはやふる 下の句」
そして2018年3月17日に完結編として「ちはやふる 結び」が公開されました。
青春映画の金字塔として大絶賛のシリーズ、最終章も素晴らしい内容でした。
筆者は原作ファンであり、漫画もアニメも鑑賞済みですが、例え本映画作品が初めての”ちはやふる”だとしても問題なく楽しめるように作られた良作です。
主演の広瀬すずを始め、各キャストが渾身の演技を見せて堂々の完結となりました。
シリーズあらすじ
上の句おさらい
小学校の時に新に誘われてかるたを始めた千早は太一と3人でかるたに夢中になる。
しかし小学校卒業と同時に新は福井県へ転校、太一とは別々の中学へと進み3人の幼馴染は離れ離れに。
千早は「かるたを続けていればまた会える」という言葉を信じて、かるたを続けていた。
瑞沢高校に入学した千早は、競技かるた部を新設するために奔走する。
部創設の条件である5人の部員を集め、高校で再開した太一も入部する事になり競技かるた部は発足。
創設したばかりのかるた部は色々トラブルもあったが、なんとかそれを乗り越え都大会優勝。
全国大会へと歩を進める事ができた。
全国大会で新と再開できる事を楽しみにしてる千早。
そんな中、新は太一に「もうかるたはやらない…」と電話で告げる。
千早、新、太一の三角関係。全国大会。そして新のかるた引退…
様々な伏線を残し「下の句」へ続く。
下の句おさらい
かるたを辞めたという新に会う為、千早と太一は新が住む福井を訪れる。
そこで新の祖父が亡くなったことを知る…
永世名人である祖父は、新にとって憧れであり、かるたそのものとも言える存在だったのだ。
新のかるた引退にショックを隠せない千早。
しかし千早は「自分がクイーンになれば新がかるたをまた始めてくれるのではないか」と思うようになり、より一層強くなる為にかるたに打ち込むようなる。
そんな中、千早は現在のクイーンが高校生の若宮詩暢であることを知る。
圧倒的な女王の強さに、「このままではダメだ」と焦りを感じた千早は部の強さより個の強さを求めるようになり、次第にかるた部から離れていくのであった。
孤独の中でもがく千早は自分がかるたを続けてる意味すら見失いかけるが、そんな千早に「ひとりでかるたやってると思うな。お前は瑞沢かるた部だろう」と教えてくれたのは他校のライバルであった。
反省をし、かるた部に戻った千早を太一を始め部員たちは暖かく迎え入れてくれる。
千早のメッセージで大会を見に来た新の前で千早はクイーンに挑戦。
結果、若宮詩暢の圧倒的なかるたの前に敗退…
しかし試合後千早は笑顔で詩暢に言う。
「またかるたしよう」
クイーンに「いつや?」と問われ「クイーン戦で!」と応える千早。
その熱い戦いを観戦し、千早の情熱に打たれ、またかるたを再開する気持ちになった新であった。
クイーン挑戦を賭けた試合で新の地元の後輩「我妻 伊織」に破れた千早。
しかしその我妻でさえその後のクイーン戦では圧倒的大差で敗れる。
その日新は千早に「好きや」と思いを告げる。
千早や太一のようにチーム戦に参加する為かるた部を作る新。
打倒瑞沢かるた部掲げ集まった部員は準クイーンの我妻を筆頭にA級の猛者ばかり。
対して瑞沢かるた部は新メンバーは問題児ばかり、新が千早に告白した事を知り部を去る太一、今年こそは全国制覇と息巻く千早の気持ちとは裏腹に部は壊滅的危機に…
果たして太一はかるた部に戻るのか?
瑞沢かるた部は悲願の全国優勝を成せるのか?
クイーンとの再戦は?
それぞれの想いが交錯しながら今、ちはやふる完結編の幕が上がる。
オリジナル設定が熱い
原作がまだ終わってない状況下で劇場版は完結させる為かなりオリジナル要素な部分が多い。
まずは瑞沢高校かるた部新入部員。
優希 美青演じる花野菫は概ね原作通りだが、佐野 勇斗演じる筑波秋博は名前こそ筑波くんだが性格、かるたの腕、生い立ちなどは原作の田丸翠である。
2時間強という時間の映画に新入生を3人出しちゃうと掘り下げが薄くなる為2人が限界という事での設定であろう。
そして映画オリジナルキャラクターである16歳の現役準クイーン我妻伊織。
今作では千早のライバルである我妻伊織を演じる清原果耶が圧倒的存在感を放っている。
映画3月のライオンでヒロイン川本ひなたを演じた将来を期待される旬な若手女優である。
レギュラー陣も負けてません
肉まんくん演じる矢本悠馬。
脇役でありながら一番物語を盛り上げてるのは彼であろう。
熱く、優しく、繊細。
原作の西田も本当に愛すべきキャラであるが、見事に演じきっており、物語になくてはならない登場人物となっている。
松岡茉優演じる女王・若宮詩暢。
前作から異彩を放っており素晴らしい貫禄と可愛さだったが今作も健在である。
スノー丸Loveな彼女を見ているだけで幸せな気持ちになれる。
京都弁と氷の微笑には息が止まるほどのプライドと女王としての揺るぎない威厳が滲み出る。
坂口涼太郎演じるヒョロくん。
毎回思うけど似過ぎ(笑)
ヒョロくんが実写化してるだけで笑みが溢れてしまう。
原作ファンとして
今作はかなり原作と設定が変更されている為、一部ファンにはダメ出しを喰らっていると聞いています。
しかし今まで数々のオリジナルストーリーでの実写化を観てきた中ではダントツの面白さであり、監督を筆頭に製作陣の並々ならぬ原作への愛を感じられる良い映画となっていると思います。
特にラストの数年後の話。
北央に永らく連覇されてる(数年後の)瑞沢かるた部の新任顧問が第66期女王、綾瀬千早が就任して久々の全国優勝を狙う描写は感涙ものです。
総評
漫画の実写化は成功しないことが多い昨今、見事に大成功を喫した作品だと思います。
製作陣の原作への愛、そしてキャストの情熱、脚本の素晴らしさ。
全てが融合されて今回の「ちはやふる -結び-」となったと思います。
実は筆者、この時期は観たい映画タイトルが多過ぎて、このちはやふるは劇場鑑賞が出来ないかとも思っていたのです。
半ば諦めかけてたのですが、各レビューの高得点ぶりに「これは劇場で観なければ後悔する」と直感して無理やり時間を作り鑑賞しました。
観終わったあと、劇場で観て本当に良かったと思えた作品でした。
前作視聴済みの方も、未視聴の方も、原作を読んでる方も、読んでない方も、どなたにも鑑賞して頂きたい素晴らしい映画です。