【シン・エヴァンゲリオン劇場版:||】さらば、全てのエヴァンゲリオン。四半世紀にわたるアニメコンテンツの終焉。【映画レビュー】

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『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が2021年3月8日に全国一斉公開されました。

25年にわたるエヴァンゲリオンの完結作品としてアニメファンだけではなく、一般社会的でも大きな話題となった作品である。

 

 

『エヴァンゲリオン、完結』

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本作は2007年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』から続いた新劇場版シリーズの最終作であり、1995年に放映が開始されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』から続く25年にわたるエヴァンゲリオンの歴史に終止符を打つ作品である。

興行収入は2021年5月31日現在で86億円を突破しており、庵野秀明監督作品の中でも最高の興行収入になった。

エヴァンゲリオンというと、賛否両論の評価に分かれることが多いが、今回は概ね肯定的な感想が多いようだ。

本作に対する様々な考察は至るところで論じられているので、この記事では筆者個人の感想を記そうと思う。

 

四半世紀にわたるコンテンツ

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1995年にテレビ東京系列で放映された『新世紀エヴァンゲリオン』。

この作品は1990年代に始まる第3時アニメブームのきっかけになった作品と言われている。

筆者にとっても大好きなアニメ作品の中のひとつである。

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実はこの頃の筆者はアニメから少し離れていたのだが、1990年にNHKで放映されたテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』のファンであり「あのナディアと同じ監督作品なら是非観たい」と思い視聴したのがエヴァンゲリオンとの出逢いだった。

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TV版とは別の結末を描いた劇場版『シト新生』『Air/まごころを、君に』(1997年)も大ヒットとなった。

そして新劇場版が全4部作として製作開始され、2007年に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を皮切りに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009年)『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)と公開となり、本作にて四半世紀にわたるエヴァンゲリオンの歴史は幕を降ろした。

 

感想

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肯定的な本作の感想が多い中、筆者の評価は決して“最高”とは言えなかった。

誤解の無いように言っておくと、作画・BGM・セリフ・声優の演技まで全て素晴らしいクオリティーであり、庵野監督作品の特徴ともいえる解りづらく難解なストーリーでもない。

しかし観賞後、筆者の求めていたエヴァンゲリオンとは何かが違っているという感覚が残った。

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その違和感とも言えるものが何か、最初は自分でもよく解らなかったのだが、時が経つにつれおそらくこういうことなのだと思うようになった。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』で主人公である碇シンジは成長し、大人になってゆく。

他のキャラクターも皆、それぞれの人生を歩んでおり、エヴァンゲリオンという物語からの卒業を感じさせるラストであった。

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筆者はそれが多分哀しかったのだろう、と。

「本当にエヴァンゲリオンは終わったんだ」という明確なメッセージが本作からは感じられ、それを純粋に受け止め、感動した大多数のファン。

しかし筆者のように終わってしまったことを深層心理で受け入れきれていないファンも少なからずいるのでは無いだろうか?

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では、なぜ庵野監督はこういう結末にしたのだろうか?と考えた。

ファンにとっても大事な作品だとは思うが、産みの親である監督にとってはまさに自分の人生そのものと言っても過言では無いだろう。

そう考えると25年という年月は、我々いちファンとは重さが違うのだろう。

監督自身のエヴァンゲリオンからの卒業。

そういう意味での結末も、このラストには含まれていたのかも知れない。

この様に考えることにより初めて自分でも消化できた様な気がした。

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兎にも角にもこの作品が与えてくれた様々な感情や興奮が筆者に及ぼした影響はとても大きい。

エヴァンゲリオンという作品に出逢えて本当に良かったと思っている。

感謝の気持ちを込めて”すべてのエヴァンゲリオン”に別れの挨拶を贈りたい。

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