【劇場版 ファイナルファンタジーXⅣ 光のお父さん】そこには、少しぎこちない《光の戦士》がいた──。累計アクセス数1000万超の大人気ブログ、感動の実話が待望の映画化!【映画レビュー】
『劇場版 ファイナルファンタジーXⅣ 光のお父さん』(以後“光のお父さん”)は2019年7月2日に公開となった野口照夫監督の邦画。
誰にでも覚えのある親子のすれ違いを憂い、なんとか父とお互いの本音を語り合いたいと願う青年が考えたユニークな計画を描く。
『光のお父さん』とは
原作は累計アクセス1000万超の実話を基とした大人気ブログ「マイディー」。
60歳を超えるゲーム好きの父に、自分がユーザーであるオンラインゲームの『ファイナルファンタジーXⅣ』(以後“FFXⅣ”)で親孝行したいという計画が注目され人気を呼び、書籍化、ドラマ化を経て待望の映画化となった。
ゲーム内におけるプレイヤーが「光の戦士」と呼ばれていることから、父親を「光の戦士=光のお父さん」と作中で命名したためこのタイトルとなった。
あらすじ
「この人が死んだ時、僕は泣いたりするんだろうか」 ── 父親の背中を見ながら、心の中で呟くアキオ(坂口健太郎)。
広告代理店に 勤めるアキオは、ずっと単身赴任中だった父の暁(吉田鋼太郎)のことを何も知らない。
そもそもアキオが子供の頃から、典型的な仕事人間の父はいつも出張ばかりだった。
たまに家にいる時も、ムスッと押し黙ってテレビを睨んでいる。
そんな父が、突然会社を辞めて、家へ戻って来た。
何があったのか一切語らない父に、母の由紀子(財前直見)も妹の美樹(山本舞香)も困惑するばかり。
父のことが知りたい、そう思ったアキオは、ある計画を閃く。
すっかり忘れていたが、父と遊んだ思い出が一つだけあった。
かつてゲーム「ファイナルファンタジーIII」で一緒に戦ったのだ。
アキオは今自分がプレイしているオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXⅣ」に 父を誘い、正体を隠して共に冒険へ出ようと考える。
アキオは顔も本名も知らないからこそ、本音で語り合えるゲーム仲間たちに協力を依頼する。
さっそく、退職祝いの名目で、父にゲームソフトをプレゼントするアキオ。
父は自分の“光の戦士”に、“インディ・ジョーンズ”と名付けてゲームを始める。
父に気付かれないように、自室のパソコンから参加するアキオの名前は“マイディー”だ。
数日後、思い切って“インディ”にフレンド申請してからは、父のもう一つの顔に驚くばかりのアキオだった──。
登場人物/キャスト
岩本アキオ/坂口健太郎
ゲーム好きで真面目な青年、広告代理店勤務。
父である暁とは距離を感じている。
父の本当の姿を見てみたいという思いから『ファイナルファンタジーXⅣ』の世界に暁を誘い、自らの正体を隠し父と共にプレイすることを思いつく。
岩本暁/吉田鋼太郎
アキオの父。
仕事一筋で専務への昇進も内定していたが、ある日突然、家族への相談もなく仕事を辞めてしまった。
60歳を超えてから『ファイナルファンタジーXⅣ』に夢中になる。
井出里美/佐久間由衣
アキオの会社の後輩。
アキオに好意を寄せている。
アキオがFFXⅣをプレイしている事を知り、自らも始める。
岩本美樹/山本舞香
アキオの妹。
アキオと同じく、父親が何を考えているか疑問に感じながらも、明るい性格で家族の潤滑油になっている。
芸人の彼氏と交際中。
吉井晋太郎/佐藤隆太
アキオの会社の先輩。
明るく後輩思いであり、公私ともにアキオの相談に乗ってくれる。
岩本由紀子/財前直見
アキオの母。
夫・暁の退職を「早めの定年」として受け止めている。
楽しみにしているドラマの時間に暁がリビングのテレビを占領してゲームをするのが日課となった為に怒りを爆発させる。
感想
「あの頃のように、父と話がしたい、父のことをもっと知りたい」
そんな想いから始まった“光のお父さん計画”。
仕事一筋だった父とその息子の絆を描く良い作品でした。
ファミコンが発売されてから36年──。
現在の定年目前の世代のお父さんと子供との思い出が“一緒に「ゲーム」をプレイした記憶”というのも特に珍しいことではなくなりました。
本作を鑑賞した時に、アキオ側の視点で感情移入をするのか?暁側の視点で観るのか?世代により違ってくると思います。
筆者はこの2人だとまだアキオ側に近い年齢ですが、子供と一緒にゲームで遊んだこともたくさんあるので、どっぷり“お父さん”側に感情移入しながら鑑賞していました。
昔、子供とゲームで遊んだ思い出に場面を重ねながら物語に没頭し、最後は感動で号泣していました。
本作はオンラインゲームで触れ合う親子の絆というテーマがメインとなっていますが、もう一つ「仕事」に対しての向き合い方も隠れた題材として取り扱ってます。
アキオは20代後半くらいでしょうか。
徐々に仕事に責任が出てきて情熱を持てる頃だと思います。
頑張って仕事に向かい踏ん張る姿は、つい応援したくなります。
そしてアキオが仕事の壁にぶつかった時、エオルゼアでアドバイスをくれたのは、マイディーをアキオとは知らないインディー(暁)でした。
暁は60歳。
40年間仕事一筋で頑張り続け、自分の仕事人生は終了目前です。
家庭をも犠牲にして勤めてきた仕事…しかし決して家族を蔑ろに考えていたわけではなく、家族を誰よりも大切に想うからこそ働き続けた不器用な男…。
そんな暁が、なぜ定年目前で会社を辞めたのか──。
その理由は是非劇場で確かめてみてください。
親子の絆と仕事をテーマに描く、感動のタイトル。
2人を繋ぐのはオンラインゲームという、ちょっぴりユニークで不思議な物語。
少しでもゲームで遊んだ経験がある方なら幅広い世代に響くであろうこの感動を、たくさんの人に味わって欲しいと思います。
今回は『劇場版 ファイナルファンタジーXⅣ 光のお父さん』の紹介でした。