【劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン】心を揺さぶる感動の物語が今、完結──。愛する人へ送る、最後の手紙。【映画レビュー】

 

『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が2020年9月18日に公開されました。

 

心を揺さぶる物語、

心に響く音楽、

心に残るアニメーション、

 

今なお多くの心を惹きつけて離さない、とある女性の人生譚。

感動の完結編へ──。

 

監督:石立太一

脚本:吉田玲子

原作:暁佳奈

 

“『愛』を知る”物語、感動のフィナーレへ

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『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は暁佳奈による小説を原作とする京都アニメーション制作のアニメ作品。

2018年1月から放映された全13話のTVアニメーション、2019年9月公開の劇場版外伝『─永遠と自動手記人形─』を経て、完全新作でいよいよ感動のフィナーレとなった。

原作は京都アニメーション大賞の第5回大賞受賞作品であり、2020年現在では唯一の大賞受賞作品である。

本作は第44回日本アカデミー賞を受賞している。

 

「少佐、今なら“愛している”の意味も少しはわかるのです。」

 

感情を持たない「武器」として育てられた少女。

戦争が終わり、架空の職業「自動手記人形」を通して、他者の想いや愛を手紙にする仕事に従事することにより、無くしてしまった自らの感情を獲得してゆく彼女の人生を描く物語の完結編。

時代の流れ、科学の発展により「手紙」という文化の必要性は薄れてゆく中、彼女の“手紙”、彼女の“想い”は何処へ届こうとしているのか──。

『不変』で『普遍』な愛の物語、感動のフィナーレへ。

 

ストーリー


『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』大ヒット感謝PV

 

人々に深い傷を負わせた戦争が終結して数年。
新しい技術の開発によって生活は変わり、人々は前を向いて進んでいこうとしていた。
しかし、ヴァイオレットはどこかでギルベルトが生きていることを信じ、ただ彼を想う日々を過ごす。
「親愛なるギルベルト少佐。また今日も少佐のことを思い出してしまいました。」
ヴァイオレットの強い願いは、静かに夜の闇に溶けていく。

ギルベルトの母親の月命日に、ヴァイオレットは彼の代わりを担うかのように花を手向けていた。

ある日、彼の兄・ディートフリート大佐と鉢合わせる。
ディートフリートは、ギルベルトのことはもう忘れるべきだと訴えるが、ヴァイオレットはまっすぐ答えるだけだった。「忘れることは、できません」と。

そんな折、ヴァイオレットへ依頼の電話がかかってくる。

依頼人はユリスという少年。
一方、郵便社の倉庫で一通の宛先不明の手紙が見つかり……。

 

感想

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TV版から劇場版とすべてのエピソードで人の心の温もりと想う気持ちの尊さを教えてくれた『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のフィナーレとして本当に楽しみにしていた作品。

“自動手記人形”としての仕事の過程で成長してゆく一人の女性の人生の物語は本作を持って幕を閉じた。

まず最初に感じたことは、一切の妥協がない京都アニメーションによるその作画の美しさだ。

街並みの情景、壮大な自然描写、そして人々の表情、瞳の輝きに至るまで本当に素晴らしい。

日本トップクラスのアニメ制作会社のプライドと情熱を一目で感じることのできる最高レベル映像美に息を呑む。

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肝心のストーリーは、ヴァイオレットとギルベルトの再開と愛の行方を中心に、過去と現在を織り交ぜた演出、それにユリスという病気の少年のエピソードを練り込んだものとなっている。

女性として、そして一人の人間として成長したヴァイオレットが過去を捨てた最愛の恩人、ギルベルトの心を救う展開には感極まり泣いてしまった。

しかし個人的には少し心に引っかかるものがあり、それが何かと考えてみた。

その結果『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は筆者の中では、ヴァイオレットという女性が、最愛の人を失った哀しみを乗り越え、人間として成長する物語と捉えていたためギルベルトが生きていてハッピーエンドという結末がすんなりと受け入れられなかったからだと気付いた。

ついでに、あれほど想い合ってたヴァイオレットの事を拒絶したギルベルトの弱さが好きになれなかったからということもある(笑)。

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この様なもどかしさも感じたが、それを補い余り有る感動を与えてくれたのがC.H郵便社の社員たちのヴァイオレットへの優しさだ。

社員が一丸となり同僚のヴァイオレットを想い応援、サポートをしてくれる姿は感動せざるを得ない。

特に社長の「ふざけるなっ!」のセリフには心が震えた。

TV版から2年間ヴァイオレットの成長と人々の想いを描いた物語は本作で完結となる。

多少の気になる点もあったがハッピーエンドという形で長年視聴してきたファンにも優しいエンディングの良作と言える作品である。

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