【劇場版 幼女戦記 Saga of Tanya the Evil】最前線にて幼女は嗤う──。【映画レビュー】
2019年2月8日よりアニメ「幼女戦記」の劇場版「幼女戦記 Saga of Tanya the Evil」が全国公開されました。
原作はカルロ・ゼンによるライトノベルであり2017年1月~3月までで全12話でアニメ化された。
劇場版はアニメ版の”その後”の話となっており、ストーリーは完全新作である。
尚、アニメ版・劇場版とメインスタッフおよびオリジナルキャストに変更はない。
監督:上村泰
脚本:篠原健太
キャラクターデザイン:細越裕治
音楽:片山修志
多少の残虐描写がある為PG12指定となっている。
ストーリー
神よ、罪深き我らに赦しを。
願わくば彼の者を御許に導き給え…。
統一歴1926年。
ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる、帝国軍第二◯三航空魔導大隊は、南方大陸にて共和国軍残党を相手取る戦役を征す。
凱旋休暇を期待していた彼らだったが、本国で待ち受けていたのは、参謀本部の特命であった。
曰く、『連邦国境付近にて、大規模動員の兆しあり』。
新たな巨人の目覚めを前に、なりふり構わぬ帝国軍は、自ずと戦火を拡大してゆく…。
時を同じく、連邦内部に連合王国主導の多国籍義勇軍が足を踏み入れる。
敵の敵は、親愛なる友。国家理性に導かれ、数奇な運命をたどる彼らの中には、一人の少女がいた。メアリー・スー准将。
父を殺した帝国に対する正義を求め、彼女は銃を取る。
劇場版はアニメ版最終話、その後の話
本作はアニメ版の最終回、第拾弐話「勝利の使い方」の続きとなっている。
鑑賞前にもう一度”おさらい”をしてから鑑賞するとより楽しめる。
第拾弐話「勝利の使い方」あらすじ
帝国軍は共和国の首都パリースイィを制圧。
遂に輝かしい勝利を手にした。
ターニャも帝都での平和な生活を喜んでいたが、そこに共和国海軍が撤退中との報せが入った。
ターニャは敵を逃すまいと単独行動で出撃しようとしたが、停戦命令が発令されてしまった。
戦争を終わらせる機会を逃したターニャは、失意と憤りの中、参謀本部へと向かう。
参謀本部ではレルゲン参謀将校に”忌憚のない意見”を求められこう告げる。
「失礼ながら、我らが参謀本部は勝利の仕方を知っていても、勝利の使い方は御存知無い様に思われましたので…」
その頃、ド・ルーゴ率いる共和国軍の残党は逃亡先の南方大陸にて自由共和国を称し、帝国軍に対する徹底抗戦を宣言する。
これに他諸国も賛同し、帝国vs”帝国以外全ての国家”の縮図が成り立つ。
帝国が強大無比な覇権を大陸中央に確立することにより、周辺諸国の根本的な恐怖を増大させた結果であった。
同じく帝国に敵対する合衆国軍では多国籍義勇軍に派遣される義勇派兵部隊の志願を募っていた。
志願兵の中には帝国によって父、アンソン・スー大佐を殺され、怨みに身を焦がすメアリー・スーがいた…。
登場人物
ターニャ・フォン・デグレチャフ:CV悠木碧
帝国軍の航空魔道士官。
白き透き通った肌を持つ金髪碧眼の幼女。魔道士としてた卓越した撃墜数を誇り、指揮官としても極めて優れた軍人。状況に合わせて臨機応変な判断を下すことを好む。尚、最大の目標はなんとしても生き延び、安全な後方地域で出世して、安定した将来を手にすること。
ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ:CV早見沙織
帝国軍の航空魔道士で、階級は注意。
TVシリーズではターニャが部隊長を務める最前線の小隊で生き延び、第二◯三航空魔導大隊発足時から副官を務めてきた。将校としての自覚を養っている最中ではあるが、その空戦技能や適応力にはターニャも信頼を置いている。
メアリー・スー:CV戸松遥
TVシリーズに登場したアンソン・スーの娘。
父と自国のために自分にできることを常に模索していたが、父の死を機に合衆国義勇派兵部隊に志願。ウィリアム・ダグラス・ドレイク率いる第42飛行師団の兵士としてモスコー入りし、そこで帝国軍の攻撃を受ける。
ウィリアム・ダグラス・ドレイク:CV森川智之
ドレイク一門期待の俊英。
潮気を纏った海兵魔導中佐。多国籍軍の第42飛行師団を率いてモスコーを訪れることに。「若くてそこそこ報道映えする」という一点でもってプロパガンダ部隊の統率を命じられた。当人は政治を理解するが、好きかと言われると別問題なタイプ。尚、上層部のお気に入り。紅茶にミルクは先に入れるべきと信じる一派に属している。
<>エーリッヒ・フォン・レルゲン:CV三木眞一郎
帝国軍参謀本部の参謀将校。
作戦局のルーデルドルフの下で、作戦計画の立案、実施、完了を補佐し、戦場情報の提供など、実務を担当する。参謀本部の人事局から作戦局に配属された経歴故、軍政・軍令の双方に幅広い知識を持つゼネラリストであり、キャリアコースを進むエリート。
クルト・フォン・ルーデルドルフ:CV玄田哲章
帝国軍参謀本部の作戦参謀次長。
豪快かつ活動的な軍人であり、軍令の大半に携わる。大戦略に基いた作戦次元での指導を担当するだけでなく、細かな戦術面での検証も精力的に行う柔軟性も持ち合わせている。戦務担当のゼートゥーアとは同期の友人であり、連携して軍務に当たる。
ハンス・フォン・ゼートゥーア:CV大塚芳忠
帝国軍参謀本部の戦務参謀次長。
膨大な知識量を誇る合理主義者。軍人らしからぬ寡黙さ故に学究肌が過ぎるとの批判もあるが、物動や兵站の調整に長けたリアリストとして、実力は参謀本部でも一目を置かれている。元々は作戦畑出身で、作戦担当のルーデルドルフに協力し、作戦の立案と実施に助勢する。
感想
アニメ版がメアリー・スーの登場で完全に”続き”がある終わり方だったので、2期が来ると思っていましたが劇場版での公開となりました。
鑑賞した感想としては、とにかく市街地上空の空中戦の凄まじさの一言に尽きます。
細かく描かれダイナミックにキャラが動き回る作画と、これでもかと言うほど重低音が効いた爆撃音、魔導音は観ていて震えが来るほどの大迫力でした。
1時間41分の上映時間ですが、冒頭からエンディングまで息もつかせぬ展開が続き、あっという間の鑑賞でした。
そして声優陣も素晴らしい演技を見せてくれました。TV版からのレギュラー陣は元よりメアリー・スー役の戸松遥がまさに熱演でした。本人曰く「最後のシーンは、二度とできないというくらい出し切りました。」とコメントしていますが、まさにクライマックスのターニャとメアリーの戦闘シーンは圧巻です。
エンディングでは次の展開への伏線が露骨に張られた終わり方だったので、恐らく2期に続くと思います。(劇場版PART2の可能性もある?)
どちらにせよ、まだまだ幼女戦記をアニメで楽しめるのは嬉しいことです。
アニメ版を堪能できた方なら間違いなく楽しめるクオリティーでした。
できれば大きなスクリーンと大音響で楽しめる劇場にて鑑賞することをお勧めします。
今回は『劇場版 幼女戦記 Saga of Tanya the Evil』の紹介でした。